はじめに
在宅介護は、医学だけでも、気力だけでも回りません。家のつくり、家計のやりくり、家族の関係、そして介護者自身の心の持ちよう。それらが絡み合いながら、ようやく一日が形になっていきます。
このブログでは、私が実際に経験してきた在宅介護の“骨組み”をまとめています。立派な理論ではありませんが、現場で身体を使ってきた者として、「これだけは押さえておくと道が開ける」という六つの視点を整理しました。 2度の脳動脈瘤破裂によるICUでの3ヶ月に及ぶ治療。回復病棟での5ヶ月の臥床生活。更に、5ヶ月という長期の老健入所。妻は、結果として手足を動かせない、普通食も無理、ベッド排泄が基本という完全寝たきりで我が家へ帰って来ました。本稿は、そんな妻の在宅介護610日の総括です。
1.設計
在宅介護は、行き当たりばったりでは回らない。あらかじめ全体の流れを組み立て、「次に何を目指すのか」を見通しておくことが大切になる。
●リハビリ病棟の段階
次のステップを見据え、自主リハが許される老健を選ぶことが重要だった。
●老健での準備
在宅に戻った時に必要となる力を意識し、腕の引っ張りっこを自主リハの中心に据えた。これは、立位保持や移乗の基礎になる。
●在宅開始時に整えたこと
在宅生活を始める時点で、次の5つを柱にした。
・ソフト食から普通食へ
・ベッド排泄からトイレ排泄へ
・車椅子移動から掴まり歩行へ
・トイレ排泄時の「ついでリハ」の導入
・第二次訓練期の設定(内容は後から決めればよい)
●PDCAの習慣
在宅介護は、毎日の小さな改善の積み重ね。PC(AI)を活用し、設計→ 実践→ 振り返り → 改善の流れを回すことで、設計したプランが現実になっていく。
2.調理
介護の時間を確保するためには、調理の効率化が欠かせない。調理に追われると、心身ともに疲れが溜まり、介護そのものが苦しくなる。
マルチフライヤーの使い方や献立の工夫など、AIに相談すれば負担は大きく減る。AIは、在宅介護の“もう一人のスタッフ”だと思っている。
3.家計運営
家計の不安は、介護のストレスと結びつくと心を追い詰める原因になる。
●固定費の見直し
通信費は6千円以下へ。携帯のサービスを整理すれば、月880円も可能。
●電気代の削減
室温変化の原因を断つことで、1万円以上の節約につながった。
●高額出費の代替
犬の療養食と一般フードを半々にするなど、工夫次第で負担は軽くなる。家計の安定は、介護の安定につながる。
4.組織
家族を「手伝い要員」として見るのではなく、小さな組織として機能させることが大切だと感じている。
・役割を明確にし、
・情報を共有し、
・同じ方向を向く。
これだけで、介護の負担は大きく変わる。
5.リフォーム(動線の見直し)
在宅介護は、動線がすべてと言ってもいい。動線が悪いと、どれだけ努力しても成果が出にくい。手すりの位置、家具の配置、移動のしやすさ、トイレまでの距離。これらを一つずつ整えることで、介護は驚くほど楽になる。
6.心構え
最後にものを言うのは、介護する側・される側の“心の力”だと思う。
・小さな成功を喜ぶ
・無理をしない
・できない日は責めない
・生活の中にリハビリを溶け込ませる
在宅介護は、お互いの尊厳を守りながら続けていく営みだ。