2023/04/13

躍進する時代を拓くために 1

はじめに

 2023年4月13日付け西日本新聞は、「共産 県議ゼロ5県に衝撃」という見出しで、次のように報じた。

 共産党が、統一地方選前半戦の41道府県議選の結果に衝撃を受けている。改選前99から75に後退、議員ゼロの議会が1県から5県に拡大し、「牙城」とされてきた京都での党勢退潮が鮮明になったためだ。党員減少や高齢化による活動量の低下に加え、党内には除名処分の影響を指摘する声がくすぶる。

 本稿では、日本共産党の歴史的な退潮傾向の原因を解明し、打開の方向性を探る。もって、党が再び躍進する時代を拓くための一助とする。

歴史的な退潮の3大原因


5年後、機関紙は25%以上減り、党員も30万人を下回る

 日本共産党の歴史的な退潮の主な原因は、次の2つである。

原因1:党名に対する強い忌避感の存在

 Japan Forbes の2021年7月7日付けの記事は、ピュー・リサーチ・センターが公表した報告書について次のように伝えている。

「中国政府が国民の自由を尊重していない」という認識の浸透で「中国の好感度は、先進国で過去最悪水準」で、なかでも「日本は88%が否定的」であった。

 日本共産党という党名は、否応なく日本共産党が中国共産党と同類という認識をもたらしている。そういう中で、中国に否定的な88%の日本国民のかなりの部分が、日本共産党と党名に強い忌避感を抱いていることは想像に難くない。

原因2:社会主義への強い忌避感の存在

 党名に起因する忌避感を正当化しているのが、ソ連の崩壊と中国における市場経済の導入だ。これは、「ソ連型計画経済よりも資本主義が分け合うパイを大きくする」という認識を多くの人に植え付けた。未だに、ソ連型の計画経済を踏襲している北朝鮮の悲惨な実態とミサイルの連射は、社会主義に対する否定的な認識を更に強固にし、同時に日本人のナショナリズムを刺激している。中国における反日を基軸に据えた愛国教育と覇権主義的な動きは、日本国民の多くに、ナショナリズムを伴った社会主義への強い忌避感を増幅させている。

 ネット上で社会主義建設に関する情報を得ようとすれば、ほぼ100%の確率で次のような答えに辿り着く。インターネットの普及が、社会主義への忌避感を更に更に強固にしているのが、今の日本の偽らざる実情だ。

Q、ソ連における社会主義建設は、なぜ失敗したのですか?
A、一つは、計画経済の欠陥です。二つは、一党独裁制によって政策が偏ったことによる失敗です。
Q、中国は、なぜ市場経済を導入したのですか?
A、それは、国内の経済発展を促進するためです。

 チャットAIの答えは、インターネットで得られるソ連の失敗と中国の市場経済導入に関する情報が、どんなものであるかを如実に示している。

原因3:時代の追い風が吹いていない!

 どんなに頑張っても、日本共産党という船の帆が、時代の追い風を受けていないと躍進という軌道に乗るのは難しい。1970年代の躍進も、時代の追い風が吹いたからの結果である。しかし、ソ連の崩壊、中国の官僚主義国家化によって風向きが大きく変わった。特に、北朝鮮による拉致問題、中国の覇権主義的な動きは、反共ナショナリズムを活性化させた。この逆風に抗して躍進する時代を切り拓くのは、至難の一言。だが、仮に、新しい風を掴まえて自らの帆に受けることに成功すれば、再び、日本共産党が躍進軌道に乗ることは可能だ。

退潮傾向を打開する為の3つの課題

 日本共産党が、歴史的な退潮傾向から抜け出して、再び、国民の支持を獲得して新たな発展と躍進の軌道に乗るには、次の3つの課題を首尾よく達成しなければならない。

  1. 怖い政党という印象の払拭
  2. 旧ソ連型の社会主義の否定
  3. 時代の追い風を帆にはらむ

 ここに挙げた自己変革の課題は、いずれも日本共産党が掲げる綱領路線と矛盾しない形で達成される必要がある。果たして、それは可能なことだろうか?結論を先に述べれば、それはまったく可能であり、かつ必要なことである。

 一つ目の怖い政党という印象の払拭という課題を達成するもっともインパクトある策は、党名の変更である。日本共産党から日本共同党への改名がもっとも有力視される。しかし、党名変更と言う策は、最悪で悲劇的な結果を招くことになる。日本共産党に求められているのは、小手先の策ではなくて《革命的前衛党という厳めしい内なる鎧を脱ぎ捨てること》だ。

 二つ目の旧ソ連型の社会主義の否定という課題は、日本共産党の現綱領においても半ば達成されているが不徹底である。更に、完全な放棄に向けての検討と議論が必要である。

 三つ目の時代の追い風を帆にはらむという課題は、(予想では)日本共産党に対して現綱領の組み立てそのものの根本的な変更を迫ることになる。また、それは、時代の追い風が吹くのを待つことをせずに、新しい風を帆に受けるために必要な将来を賭けての作業である。

結び

 本稿では、日本共産党が躍進する時代を拓くための3つの課題を列挙して紹介するに留める。各課題に関する詳細な検討は、次回以降のテーマである。


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=== 推敲と校正を継続中。本稿は、適宜に訂正されます ===

2023/04/25 歴史的な退潮原因の3つ目を《時代の追い風問題》に訂正。

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