はじめに
「(日本共産党が)躍進する時代を拓くために 3」が長文過ぎたので一部、二部、三部に分けて再録します。
- 革命なき社会主義への道
- 生産手段掌握論の再検討
- 24世紀を見据えた綱領
24世紀を見据えた綱領
以上のような慎重な検討を踏まえ、民主主義革命後については、引き続き資本主義の枠内での漸次的進化の為の諸課題に取組み、社会全体の相転移を目指すこと。相転移で出現したポスト資本主義時代においては、連続的に生産の社会化と取得の私的・資本家的矛盾を克服する具体的な改革に着手することを簡潔に述べるに留めることとしました。生産手段の社会的領有に関する予測的な具体策を述べることはしないで、生産の社会化という表現に留めました。
民主主義革命が達成された後、市場経済を維持しつつ、資本主義的な古い質を減らし、共同社会的な新しい質を増やしていく漸次的進化の取組みが行われます。この資本主義の枠内で改革が蓄積された結果、社会は全体として、自由で平等な共同社会を目指す新しい段階を迎えます。この段階に到達した社会では、生産の社会化という社会主義的な改革が中心課題となります。我が党は、これらの取組みを牽引することで、生産の社会化と取得の私的・資本家的矛盾を克服した搾取も抑圧もない共同社会の建設の先頭に立つ。
この新しい綱領で、我が党は、暴力革命によってプロレタリア独裁政権を樹立して社会主義国家を建設するというトップダウン型の革命を完全に否定しました。これで、我々が目指すのは、国民各階層と共に歩む社会変革であることが誤解の余地なく明らかになりました。
量から質への転化に確信をもって
かって、車椅子の物理学者スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士は、日本講演で次のような主旨のことを言っています。
山を500m登っても、辺りの景色は麓のそれと同じです。1000m地点まで登っても、それに大きな変化は起こりません。やっぱり、見るのは山地帯のそれです。しかし、1500mまで登りきると、景色は一変します。目の前に広がるのは、山地帯とはまったく異なる亜高山帯の植相です。これが、量から質への転化です。漸次的な進化による飛躍、すなわち一歩高いステージへの移行による相転移の出現です。
「えっ、これからは、社会主義革命は目指さないの!」とガッカリしないで、漸次的進化の過程が引き起こす飛躍と、その後の社会主義的変革を展望した新綱領こそが、社会主義・共産主義に至る確かな道筋を示していることに確信をもって、この綱領を勇気を持って採択しようではありませんか?
大会が終わったら、新綱領の描く未来を一人でも多くの方に届け、社会主義への強い忌避感を克服する戦いを開始しましょう。
結び
日本共産党が躍進する時代を拓くために(3)のテーマは、旧ソ連型の社会主義革命とトップダウン型の社会主義建設の誤りと完全に袂を分かった新しい社会主義への道筋を明らかにすること。それにあたっては、スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士が日本講演で語った《量から質への転化の法則》を念頭に、日本共産党の綱領を再点検する形で進めた。その際には、1957年に刊行された「弁証法的論理学試論」のなかで寺沢恒信氏が展開された論を借用した。また、全体に《誰もが抱いているであろう疑問に、誰もが納得できる答えを探す》ことを念頭に、思い付くままに書き留めたものである。
(2)をアップしした翌日には(3)の草稿が完成している。その3日後には、校正を終了している。僅か数日の思索が生み出した《革命なき社会主義への道》と《生産手段掌握論の再検討》が、日本共産党の綱領に幾ばくかでも反映される日が来ることを願って結びとする。
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