2023/04/15

躍進する時代を拓くために 2

はじめに

 本稿のテーマは、日本共産党の歴史的な3大退潮原因の1である《党名に対する強い忌避感の存在》を突き崩すための策《怖い革命政党という印象の払拭》について論じることである。できるだけ、もっともらしさで装飾するために、例によって未来の党首である宮本哲三氏に語ってもらうことにする。

党名変更に勝る民主統一制への移行

 幹部会を代表して、「我が党が再び躍進する時代を拓くために」打ち出した《怖い革命政党という印象を払拭するための施策》について報告します。幹部会が決めた施策について述べる前に、この件に関する前大会までの論議を振り返ってみます。

 一つ目の怖い革命政党という印象の払拭という課題を達成するもっともインパクトある策は、党名の変更です。日本共産党から日本共同党への改名がもっとも有力視されています。しかし、党名変更と言う策は、最悪で悲劇的な結果を招くことになります。我が党に求められているのは、小手先の策ではなくて《革命的前衛党という厳めしい内なる鎧を脱ぎ捨てること》です。具体的には、「発言の自由と行動の統一」を核とした民主統一制へと移行することで、共同社会を目指すセンターとしての立ち位置を確かにすることが求められています。これが、怖い革命政党という印象を払拭する最善の選択です。

 ここで、「発言の自由と行動の統一」とは、一体、どのようなものかを再確認しておきます。それは、次のように要約されます。

 党員は、大会決定を討議する時も、決定の実行方針を決める時にも、自由に発言することができる。しかし、決定の実行方針を実践する特定の政治行動プロセスでは、すべての党員は、自説への拘りを捨てて行動の統一の旗の下にみんなで決めた方針の実現に最大限尽力しなければならない。また、実践に関する総括及び実行方針の見直しを行う時は、党員には、再び自由に発言することで、更なる方針の発展に寄与することが期待される。発言の自由とは、政策討論集会やSNS及び出版などによって意見を公開する自由を含む。

 既に、革命的前衛党という厳めしい内なる鎧を脱ぎ捨てるという課題は、かかる「発言の自由と行動の統一」を不動の組織原則として確認することで達成されました。そこで、幹部会では、そのことを広報する上での3つ柱を確認しました。広報とは、さまざまな相手との関係を構築し、戦略のもとで情報を発信する活動です。(https://prtimes.jp/magazine/mission/)

  1. プレスリリースの作成。
  2. SNSを活用した広報。
  3. 国民との広い対話活動。

 「党名変更に勝る民主統一制への移行」を現実にするには、一つには、相手との関係を構築する取組み、二つには、戦略に基づいた情報発信が求められています。次に、広報の3つの柱に基づく活動の要点について述べます。

    「民主統一制」と新しい7つの基準

     広報の目的は、民主統一制への移行を宣伝することです。その目標は、《我が党が厳めしい革命政党から、共同社会を目指して共に戦う仲間に名実ともに脱皮した》ことを理解・納得してもらうことです。

     民主統一制の7つの基準は、次の通りです。

    1. 党の大会決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める。
    2. 大会決定を実践する方針も、民主的な議論をつくし多数決で決める。
    3. 全党は、方針等を実現する特定の政治行動では行動を統一する。
    4. すべての指導機関は、投票による民主的な選挙によって選出される。
    5. 党員には、党の諸問題を討論する集団をつくり、参加する自由がある。
    6. 党内に、私利私欲の実現を目的とした派閥はつくらない。
    7. 意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない。

     この7つの基準こそ、民主集中制を時代に合わせて発展させた民主統一制の概念を具体化したものです。

     ですが、「どこがどう変わって、革命的前衛党という厳めしい内なる鎧を脱ぎ捨てたのかを俄かに理解するのは難しい」との声が寄せられています。そこで、情報発信を容易にするプレスリリース及び広報冊子を作成し、それを基にしたマスメディア宣伝を展開すると共にSNSを活用した広報活動を展開します。また、しかるべき小冊子も作成して党員の伝える活動をフォローします。

     プレスリリースは、民主統一制の移行によって起きた四つの変化について、「そうなんだ。よーく分かった」と理解と納得を得る伝え方をサポートするに十分なサンプルとなるでしょう。また、党の広報部門に《四つの変化を広報する専属チーム》を配置して、党外の反応を集約し、広報のあり方で改善すべき点があれば素早く共有するできる体制作りを進めていきます。

     「そうなんだ。よーく分かった」は、四つの変化を人々に情報として伝えるに留まらず、人々の既存の知識との矛盾を乗り越えて、いわば脳の記憶領域から納得領域にまで届けるということです。マスメディア宣伝やSNSを活用した広報活動は、もっぱら国民の脳の記憶領域に届ける活動です。その情報を、納得領域にまで届けるのが三つ目の柱です。この記憶領域から納得領域へというのが、我が党の基本的な広報戦略です。

     この我が党の広報戦略の正否を決めるのは、正に、党員一人ひとりの国民との対話活動のみです。党員一人ひとりの奮起を期待しています。

    四つの変化を社会に広く伝える意義

     民主統一制の移行がもたらした変化については、規約改正に関する報告(2023/04/08)で明らかにした通りです。先に述べたように、幹部会は、それを、四つの変化として広報することを確認しました。

    1. 党員は、選挙期間中に公約と矛盾した言動を自粛する以外は、党綱領や大会決定について自由に論議し批判することできるようになったこと。行動の統一を求められる特別な場合を除いて、普段は、綱領や大会決定と矛盾した発言をすることは、発言の自由であって、決して反党行為として非難されることのない民主統一制へと移行したこと。
    2. すべての指導機関が投票による選挙で選ばれるようになったこと。信任投票や拍手によって指導機関が選ばれるという旧い慣習は完全に過去のものとなったこと。
    3. 党員が、討論を目的とした集団に参加して様々に論議を交わせるようになったこと。複数名の党員が支部の垣根を越えて、XXX研究会などの集団をつくり、集団としての意見を外に向かって公表する自由があること。もって、多様性を尊重し合い、違いに寛容な党として名実ともに新しいスタートを切ったこと。
    4. 分派の禁止を、私利私欲の実現を目的とした派閥の禁止に限定し、党員によるグループの結成が許される新時代がスタートしたこと。

     この4つの変化は、我が党がきっぱりとスターリン時代の負の遺産である集権集中制と袂を分かったことを疑いの余地なく示しています。この変化こそが、ポスト資本主義の新しい社会を目指す国民各階層のセンター、自由で平等な共同社会を目指すという取組みの中心という我が党の立ち位置を揺ぎないものにします。この点こそが、四つの変化を、マスメディア、統一戦線の仲間及び国民の皆さんに伝える意義です。

     幹部会が決定した民主統一制への移行を広報する3つのポイントに沿った活動を通じて、党も党員も「発言の自由と行動の統一」という新しい組織原則に基づいた民主統一制の諸基準を自らの血と肉にできるでしょう。皆さんの大いなる奮闘に期待します。

    対米従属的な反共主義と戦ってこそ

     最後に、怖い革命政党という印象を払拭する取り組みは、一朝一夕に達成されるものではなくて期間を要する取組みであることに触れておきます。それは、正しく、対米従属的な反共主義との戦いによってのみ達成されます。

     中国に対する好感度は、世界的にも日本がダントツの最下位で僅かに12%未満にしか過ぎません。これは、中国政府が「国民の自由を尊重していない」という情報に身近に接している隣国ならではの事情によるものです。

     同時に、戦後、我が国が、戦勝国であるアメリカによって「反共の防波堤」として再編されたことが、「日本の政界に、侵略戦争への無反省という他国に例のない性格を刻む」ことになりました。このことが、今日の歴史修正主義の土壌を育くみました。これは、中国や韓国における反日運動もあいまって、居直りの嫌中・露・嫌韓意識」として自民党右派の岩盤支持層を中心に強く定着し、いわゆる安倍派や(より右寄りでタカ派といわれる)維新の会を勢いづかせるエネルギー源になっています。

     以上のような状況を直視すると、我が党に対する謂れのないイメージを払拭する取組みは、国際勝共連合(統一教会)と結託して進歩勢力を激しく攻撃してきた自民党右派に代表される対米従属的な反共主義勢力との真っ向勝負の戦いです。ゆえに、それは相当の期間を要する取組みになります。小冊子を配布して終わりではないことは明らかです。ですが、そういう取組みによって引き起こされる一つひとつの変化の量的な蓄積こそが国民意識に相転移を引き起こすという弁証法に確信を持って不屈の精神で取り組んでいこうではありませんか。

     次は、休憩をはさんで、二つ目の、《社会主義への強い忌避感》を払拭するための《社会主義的政権構想の放棄》の問題について報告します。

    結び

     《発言の自由と行動の統一》についての詳細は「発言の自由と行動の統一」(2023年3月28日)を、《民主統一制の7つの基準》についての詳細は「規約改正に関する報告(宮本哲三)」を参照してもらえば有難い。確かに、本稿で紹介した宮本哲三氏の報告を聞く日を迎えるには、相当の党内論議が尽くされる必要があります。

     でも、日本共産党が、《怖い革命政党という印象を払拭するため》に安直に党名を捨てて空中分解する道を選ぶのか、それとも《発言の自由と行動の統一》という組織原則への復帰を果たし、スターリンの誤りを完全に払拭することで新たな躍進の道に踏み出すのか、二つの道の選択を迫られていることだけは確かです。もちろん、集権集中制の維持に拘って、自然消滅という第三の道もあります。是非、日本共産党が、賢い選択をもって新たなる発展の道に踏み出されんことを願って結びとします。

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    === 推敲と校正を継続中。本稿は、適宜に訂正されます ===

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